化石の夢

『ラン・オーバー』 感想

 

ラン・オーバー (講談社ラノベ文庫)

ラン・オーバー (講談社ラノベ文庫)

 

 【あらすじ】

 湊里香が転校してきてから、クラスは一変する。いじめのターゲットにされても動じない彼女はあるとき伊園を呼び出した。湊に秘密を知られた伊園は、言われるがまま同棲生活をスタートさせる。不思議な彼女は伊園にあることを提案する。それはいじめのリーダーカップルに反撃すること。はじめは気乗りしなかった伊園も、次第に湊の意見に賛同するように。いじめのターゲットの原を巻き込み、三人の過激な反乱が始まが、湊の本当の目的は誰にも想像がつかない恐ろしいものだった……。第4回講談社ラノベ文庫新人賞佳作受賞作。

 

【感想】

 

 講談社サイトで既刊作品を物色してて見つけた一冊。

 

 ラノベはほとんど読んだことないからこのラノベが「怪作」や「カテゴリーエラー」と呼ばれてても、比較対象がない・・・。

 かなり主人公の性格や周りの人たちの世界が鬱屈しているけどこういうラノベも全然ありだと思う。

 内容がいじめと復讐の話だから暗いし陰気なのに、サクサクとページを進めることができる。文章力があるんだろう。主人公の内面描写が複雑で難解に陥ることなく、分かりやすい言葉や比喩で表現されていて手に取るように分かる。

 主人公の伊園の抱える感情は誰にでも、おそらく顔を覗かせるものだ。

 俺もある。

 大抵そういう感情というか衝動は、した後を考えて「怖れ」を伴うため未然に防がれているんだけど、このラノベの場合は余計な感情がないからサクサクと行動に移して、それが爽快だと思った。

 破壊の楽しみに目覚めた主人公とヒロインは一体どこへ向かうんだろうなあ。