化石の夢

『NHKにようこそ』 感想

 

NHKにようこそ! (角川文庫)

NHKにようこそ! (角川文庫)

 

 

【あらすじ】

 ウワサのノンストップひきこもりアクション小説、登場!

ひきこもりの大ベテラン佐藤は気づいてしまった。人々をひきこもりの道へと誘惑する巨大組織の陰謀を!――といってどうすることもなく過ごす佐藤の前に現れた美少女・岬。彼女は天使なのか、それとも……。

 

【ネタバレ感想】

 ニート問題......最近になって切実に自分に近づいてきていると自覚してる...。

 

 さて、この小説の存在はアニメから知りました。

 次に漫画を読んで、最後に原作に手を出した次第です。

 これでメディアミックス・コンプリートです。

 

 話の内容は引きこもりニート佐藤の元に謎の少女岬ちゃんが現れて一緒に引きこもり脱出を目指すといったもの。

 

 この本が発表されたのは2001年だからもう何年前だ?

 19年前か。

 引きこもりの問題は依然として続いているわけで、むしろ悪化している気もするのだけれど、そういうわけで今でも十分通用する内容になっている。

 佐藤の心情描写が真に迫るもので、如何しようも無い絶望感や悲壮感に囚われてしまいそうになるけど、そこをコメディタッチなところがあるおかげで単に暗いだけの話にならずに、楽しく笑いながら読むことができる。

 暗いだけの話だったらここまで人気にはなってないだろう。

 

 アニメ版や漫画版を見てきて、やはり気になるのは岬ちゃんの描かれ方。

 アニメ版ではキャラクターデザイン的にも性格的にも天使たる人物像で描かれていたけど、原作はそれに近い感じで、もう少し暗い印象がした。

 漫画版とは大違い。まあ、あっちの岬ちゃんは最初の天使さは何処へやら、盗聴するわ監禁してくるわ全部嘘だとかでかなりやばい感じのメンヘラちゃんだからな。

 

 原作はアニメや漫画と違って一冊完結のため、内容は最初の馴れ初めと山崎とのエロゲー作りと最後の崖のシーン以外はほとんどの出来事が書かれていない。

 柏先輩も名前は出てこないし委員長は未登場。

 逆に、アニメや漫画ではないのが、宗教団体への潜入のシーン。

 あと、ドラッグ!

 というか後半はほぼドラッグキメてトリップしているんですよ!

 今じゃ脱法ドラッグOUTになっちゃったから、今この描写を書いて出版するのは難しいだろうな。(児ポのシーンもだけど)

 

 最終的に佐藤は仕送りを止められて引きこもりを脱出する。

 岬ちゃんの脱出プロジェクトはあんまり関係しない。

 兵糧攻めがヒキニートには有効らしい、現実に根ざした解決方法。

 

 ということで『NHKにようこそ』は俺の人生に深く突き刺さっている、バイブルみたいな作品。

 原作も読んで良かった。