『太古の光景 先史世界の初期絵画表現』 感想
【内容】
「人間が存在しない時代の光景」はいかに描かれてきたか。19世紀に誕生した「太古の光景」という表現のジャンルを、傑出した科学史家が105枚の図版をもとに緻密に検証し、“科学的・芸術的想像力”の歴史を浮き彫りにする。
【感想】
『化石の意味』の作者ラドウィックの関連書籍で見つけた。
絵は古生物を知る上で最も重要な表現方法だろう。
その最初期の表現方法についてこの本は105点の図を示して紹介している。
たくさんのイラストがあって、味わい深く読めた。
それぞれの製作人物やイラストの相関関係はよくわからなかったけど、
最初期の太古の光景を見ることができ満足。
本文以外のテキストの文が意外と多くて、結構読むのには時間がかかった。
テキストの文はイラストの紹介で、まるで小説の情景描写のようで、
美しいと感じた。
ドーセットのイクチオサウルスやプレシオサウルスの時代が一番最初の太古のイラストで、そのイラストにはどこか賑やかさと陽気さがある。
アンモナイトもそのイラストで描かれているんだけど、もはやタコとかじゃなくてクリーチャーを彷彿とさせる想像図にびっくり。フラップ状の1対の羽のようなものをばたつかせて空でもとぶのかって感じ。
この本でも聖書との関連が取り上げられていた。
聖書の天地創造から人間の誕生、ノアの洪水と続き現代へと至る一連の絵画図が、定向的な地球の歴史を描く一連の絵画図に転用されていったとのこと。