化石の夢

『電波大戦』感想

 

 

 作者の本田透氏が前作『電波男』が売れてしまった結果、有名になった副作用で女性の人やファンに言い寄られる可能性に直面し、その護身として、4人の師匠に護身術の手ほどきをしてもらおうという本。そもそも、作者は『電波男』で恋愛至上主義を否定し、オタク的な生活を送ることを推奨する内容の話を書いたので、女の人に言い寄られたり、アプローチされたりというモテの魔の手から逃れないと、いけない状態になってしまった。

 そのための護身というわけです。

 対談者4人の考えや境遇も様々で、女性との電波大戦から帰還を果たした竹熊氏、開き直ってどんどん付き合っちゃうと言う岡田氏、今まさに電波大戦真っ最中の滝本氏、そもそも女に興味がない倉田氏といった感じで、対談にも個性が出ていて面白かったです。

 2005年出版な訳ですでに15年くらいまえの本になってしまいますが、モテの本質というか内容そのものは現在でも通用するんじゃないかと思えます。

 自分がこの本で印象に残っているのは、「純愛を求めたければ全財産を失う覚悟で臨むべし」と言った滝本氏の発言ですね。

 彼女のことが嫌いになっても、愛し続けることこそが純愛であるため、結果的に全財産を奪われちゃうっていう。

 

 自分はモテたことがないし女性に言い寄られたこともない人生だから、この本の護身術とやらを試すようなこともないはずだと達観していますが、人生はどう転ぶか分からないわけで、いざとなったときにこの本の内容を覚えておくことも悪くないかもしれません。